伝説の日本刀:今剣
今剣はいまのつるぎと読み、源義経が自刃した時に使ったことで有名な日本刀で、義経記の中にその名前があります。
由来は鞍馬山を祈願のために訪れた三条小鍛冶宗近が奉納していったもので、今剣という名前は鞍馬寺別当の僧侶蓮忍が名づけたものと言われています。
もともとは蓮忍が秘蔵していましたが、それを鞍馬にいた源義経に与えたとされています。
その後は義経の守り刀として使われ、文治五年に頼朝の追及を受けた義経が衣川館持仏堂に篭って、自刃し果てた時に使用しました。
その後今剣の行方は不明でしたが、平成26年秋に青森県むつ市で知人からこの剣を譲り受けたという方が平成27年に公開し、三条宗近の銘があることから判明しましたが、これが源義経の使用したものと同じかどうかは確認されていません。
刀身は6寸5分の役20センチ程度の日本刀で、それ以外に特に特徴のない刀ですが、柄部分に紫壇を張り合わせており鞘の底に唐草模様の藤を巻いて、竹の輪違いの紋をあしらっているという内容の記述が義経記に残されています。
伝説の日本刀:十握剣
十握剣(とつかのつるぎ)は、その文字通り、剣身が握りこぶし10個ほどの長さになる剣です。
「剣」というように、厳密には「日本刀」ではないのですが(「剣」は両刃、「日本刀」は片刃という厳密な区分があります。
ただし、日本では区分が曖昧になることもあります)、日本固有の武器であることには変わりはありません。
十握剣の使用例は、基本的に神話の時代に集中しており、イザナキ、スサノオ、アヂシキタカヒコネ、タケミカヅチらの高名な神々が愛用していたという描写が『古事記』や『日本書紀』などに見られます。
ちなみに、十握剣自体は一般名詞であり、それとは別に、剣自体の銘が存在しています。
例えば、イザナキの剣は「天尾羽張(あめのおはばり)」や「伊都尾羽張(いつのおはばり)」と呼ばれ、妻のイザナミを産褥死させた息子を切り殺す際に利用されていますし、スサノオの剣は、「蛇之麁正(おろちのあらまさ)」、「韓鋤之剣(からさびのつるぎ)」、「天蝿斫之剣(あめのははきりのつるぎ)」などと呼ばれ、ヤマタノオロチを切り殺す際に使用されました。
なお、この剣は、今でも石上神宮に祀られていると言われています。